Q1.ブラックリストにのると融資は無理?
Q2.無担保・無保証で融資を受けることができるの?
Q3.自己資金とは?
Q4.銀行借入のさいどのような資金使途は不可ですか?
Q5.銀行融資担当者は決算書のどこを見るの?
Q6.マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)とは?
Q7.ファクタリングとは?
Q8.創業融資で断られるケースは?
Q9.銀行口座開設は簡単にできる?
Q10.銀行は建設業者の財務内容のどこを見るの?
Q11.でんさいネットとは?
Q12.金融機関とうまく付き合うには?
Q⒔.コロナ融資の返済が始まるけど先伸ばしできない?
Q1.ブラックリストにのると融資は無理?
厳しいと思ってください。
日本政策金融公庫、信用保証協会、銀行では個人信用情報機関に加入しており、融資の際にその掲載内容を確認しています。
個人信用情報機関(主なもの)
・全国銀行個人情報センター
・CIC
・JICC
情報が登録される原因ですが一定期間の延滞や債務整理がなされると事故情報として登録されます。そしてその登録された状態のことをブラックリストに登録されているといわれています。また登録の期間はそれぞれの細かい事情により異なりますが、大体の目安としてクレジットや銀行ローンの延滞解消で5年。自己破産などの債務整理で10年が目安となります。
クレジットの新規申込やローンの申込で審査に落ちた場合で、腑に落ちない場合は各個人
信用情報機関に個人情報の開示請求(窓口・郵送及びスマホから。手数料500円~1000円)をすることができます。
Q2.無担保・無保証で融資を受けることができるの?
受けることができます。(以下の金額はあくまで限度額です)
日本政策金融公庫では以下の3つが利用できます。
新規事業者向け
・新創業融資制度(サブメニューの創業者の資金調達方法をご参照)
・中小企業経営力強化資金(既存事業も可)
既存事業者向け
・中小企業経営力強化資金(新規事業も可)
・小規模事業者経営改善資金(マル経融資)
1.中小企業経営力強化資金
・貸付限度額 設備資金7,200万円
運転資金4,800万円
内無担保・無保証1,000万円
・自己資金要件はありませんが、審査における重要な要素であり実質は1/3程度は用意し
たいところです
・経営革新等支援機関の支援が必要
・事業計画書の策定が必要
・事業計画の進捗状況の報告(経営革新等支援機関宛及び日本政策金融公庫宛)が必要
2.小規模事業者経営改善資金(マル経)
・貸付限度額 設備資金・運転資金 合算2,000万円
・商工会議所・商工会の推薦が必要(商工会議所・商工会の経営指導員による経営指導を
受けた実績が必要)
自治体融資制度(西宮市)では以下の通りです
・小規模事業資金(無担保無保証人特別貸金)
・貸付限度額 2,000万円
Q3.自己資金とは?
日本政策金融公庫や自治体融資制度を申込んだ場合、自己資金をどのくらい持っているかが重要なポイントになります。では具体的にどのようなものをいうのでしょうか。
それは借入以外に自分で用意した誰にも返す必要のないお金をいいます。そして金融機関は過去半年から1年分の預金通帳の提出を求め厳しくチェックを行います。預金通帳に入金せず手元にもっているお金、いわゆるタンス預金は自己資金として認めてもらえません。また預金通帳に一時的に他人から借りるなどして入金されたものは「見せ金」とみなされ担当者の心証を悪くしてしまいます。
次に具体的にどのようなものが自己資金とされるかみてみましょう。
・コツコツと預金通帳に入金して貯めた預金
・退職金
・親兄弟からの贈与資金(明確な証拠書類が必要)
・生命保険の解約返戻金
・既に事業のために使ったお金(みなし自己資金)
備品・機械設備・店舗の保証金、敷金など契約書や払込領収書等の提出が必要ですが
これは例外的な措置につき絶対ではありません。
*明確な規定はありませんので担当者の総合的な判断に委ねられます。
Q4.銀行借入のさいどのような資金使途は不可ですか?
「資金使途」とはお金の使い道のことです。
金融機関に対して資金使途の説明は融資の申込において大変重要な要素となります。
これを大きく分けると「設備資金」と「運転資金」の2つになります。
設備資金は「機械や土地建物等の資産」に使う資金をいいます。
運転資金は基本的に「日常の経営に必要な資金」をいいます。
これを細かく分けますと経常運転資金、増加運転資金、賞与資金、納税資金、季節資金、在庫資金、赤字資金、つなぎ資金等々があげられます。
では実際に金融機関への説明で、融資を受けることが困難になる資金使途はどのようなものでしょう。
まず各金融機関において、最近使途からみて融資を禁止する行内規定が存在します。
たとえば違法性やコンプライアンス上問題があると思われる資金使途や過大な財テク資金
、過度に投機性を有する資金、公序良俗に反する資金、環境に悪影響を及ぼす恐れが大きいと思われる事業資金等です。
そして、最も多い融資が断られる資金使途は、俗に「後ろ向き資金」です。
これは赤字資金を穴埋めする資金、売掛金・受取手形など不良資産となり、穴埋めをするための借入を言います。つまりこの資金の返済する財源はなく不良債権かする可能性が大きいからです。
間違っても、「赤字を穴埋めする資金」や「不渡りをつかまされたための資金」と融資を申込むことはやめましょう。
Q5.銀行融資担当者は決算書のどこを見るの?
決算書の中には以下のものがあり銀行審査のうえで重要になります。
・貸借対照表(一定の時点、つまり決算期末日における資産・負債・資産のすべてを一覧
できるように対照させた財務諸表のひとつで企業の財政上状態をしめすもの)
・損益計算書(1営業期間に発生した収益とそれに対応する費用をまとめて記載した財務
諸表のひとつで企業の経営成績を示すもの)
具体的に銀行担当者はどこを見ているのでしょう。
貸借対照表
・純資産(貸借対照表の右下) マイナスだと債務超過ということであり総負債が総
資産を上回っていることを示しています。つまりその時点で解散しても負債を返しき
れないということです。
・借入金 残高が多すぎないか。月商の何ヶ月分の借入か業種平均と比べます。また預
金残高をみて総合的に判断します。
・債権(売掛金・受取手形)月商、締日からの残高をチェックし回収遅延・不能がない
か確認。
・棚卸資産 在庫を月商の何ヶ月分持っているか業種平均と比べ回収遅延・不能がない
か確認。
・貸付金・仮払金 回収が可能か、実体はあるのか確認。
損益計算書
・営業利益 本業での利益の状況。赤字であれば事業を続けるほど赤字が拡大する。
・経常利益 営業利益に営業外収益・営業外費用を加減したもので事業全体から経常
的に得た利益です。たとえ本業で利益を出していても借入金の利息が多い場合は経
常利益は小さくなります。つまり企業の成績を最も端的にあらわした数字となりま
す。
Q7.ファクタリングとは?
ファクタリングとは売掛債権を持っている会社がファクタリング会社にその債権を売却しファクタリング会社が、管理・回収を行うものです。
掛売りの条件で月末締めの翌月払いの条件ではどうでしょう。最長で2ヶ月の売掛期間が発生します。そして仕入代金の支払いが売掛期間より短かった場合、支払い先行となり手持ち現金は無くなっていき最悪黒字倒産となるわけです。
一般的にこのタイムラグを埋めるため銀行に運転資金を申込むことになるのです。
しかしどんなに売掛先が一部上場会社のように会社の信用状態が良くても、まず借入申込人
の信用状態で審査の判断がなされるのです。
そのため銀行、信用保証協会保証付き融資、日本政策金融公庫等で資金調達ができない場合にファクタリング会社を利用していきます。
次に利用するにあたりそのメリット・デメリットを見ていきましょう。
【メリット】
1.自社の業績が悪くても売掛先の信用で資金調達が可能
審査の条件はあくまでも売掛先の信用状態で判断されます。
2.資金調達までの期間が短い
銀行融資や信用保証協会付融資や日本政策金融公庫融資の審査機関は大体1ヶ月弱
から長ければ2ヶ月近くかかることもあります。
3.万一売掛先が倒産しても弁済する必要がない。
4.保証人や担保が必要ない
あくまでも売掛先の信用状態で判断されます。
【デメリット】
1.手数料が高い
銀行、信用保証協会保証付融資、日本政策金融公庫の金利とはかなりの乖離がありま
す。
2.*契約によって売掛先にファクタリングの利用により資金繰りの厳しさが知れ信用を
失う懸念がある。
*3社間ファクタリングといい資金調達会社、売掛先、ファクタリング会社で行う
契約。
資金調達先とファクタリング会社の2社間ファクタリングではファクタリング利用
の情報は漏れません。
3.債権譲渡の登記がなされる場合がある。
登記がなされると謄本を入手すればファクタリング会社との取引があることが分か
ってしまいます。
Q8.創業融資で断られるケースは?
一般的に融資の審査は各項目をチェックしていき総合的に判断されます。
しかしこの項目が不適格であればほぼ絶望的と言える項目があります。
創業融資の場合においてどのようなケースであるかというと
1.個人信用情報の問題
2.経験不足
3.自己資金不足 があげられます。
以下日本政策金融公庫のケースで具体的にみていきますと
1.個人信用情報の問題
いわゆるブラックリストの登録です。申込の際必ずチェックされます。
過去に自己破産をしていたり、現在延滞や債務整理済である場合。
2.経験不足
日本政策金融公庫では借入人の要件として同じ業種で通算6年以上の経験があります。
他に修得技能等の要件がありますが、全く畑違いの業種でしか経験がなければまず無理
です。
3.自己資金不足
日本政策金融公庫では借入人の要件として創業資金総額の10分の1以上を確認できる
方とあります。
以上3つのいずれかに該当すれば融資は厳しいと思う必要があります。
Q9.銀行口座開設は簡単にできる?
昨今、銀行で普通預金口座を開設する場合、銀行に行かずPC・スマホで開設する方法が主流になっていますが、このことはあくまでも個人預金口座のことであり個人事業主の屋号付口座や法人口座は銀行の窓口に行く必要があります。
特に法人口座は銀行によって異なりますが事前に必要書類の写しを送付したしたうえで、内容確認後、来店を促す連絡が入って窓口で開設するという主なパターンです(WEB面接による銀行訪問不要の形式もあります)。
これは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等で求められている事項に加え、マネー・ロンダリング及びテロ資金供与を防止するための確認がなされるのです。そのため口座開設までに1ヶ月近く要する場合もあります。
ではどの様な書類が必要かと言いますと
個人事業主屋号付き口座
・運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等の本人確認資料
・開業届(写)
法人口座
・印鑑証明書
・履歴事項全部証明書
・本店、主たる事務所の建物の不動産登記簿謄本(自己所有の場合)
・賃貸借契約書(借家の場合)
・許認可が必要な事業の場合の許認可証
・運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等手続者の本人確認資料
*上記の他追加書類を必要とする場合もあります。
Q10.銀行は建設業者の財務内容のどこを見るの?
各銀行により財務内容を検証する際のポイントは異なると思われますが主なポイントを説明します。
1.未成工事比率の推移
未成工事比率=未成工事受入金/未成工事支出金×100
で表され仕掛工事に要した費用を前受け金でどう賄ったかを示しています。
・比率の大幅な低下=請負工事の回収条件悪化の可能性あり。
・月商比未成工事支出金が増加=工事件別の未成工事支出金の増減により底だまり債権発
生の可能性あり。
2.受注・手持工事高、完成工事高、粗利益(率)の推移
各工事件別の推移を確認し、悪化傾向にないかを確認。
3.売上計上基準の変更
完成工事基準を工事進行基準に変更することにより売上高を増加させていないか。
4.長期未収入金の確認
完成工事未収入金明細を複数期間確認し回収が長期化しているものがないか確認。
5.赤字の先送り
工事完成基準において赤字の工事を完成させたにもかかわらず未完成として完工高に計上していないケースがあり、未成工事支出金が増加し異常値が見受けられる。明細の提出やヒヤリング等にて確認。
6.決算書と経営審査事項(経審)との不一致
決算上の数値が異なっていないか。
以上、ここまで見るの?と思われますが銀行によっては厳しいところもあります。
Q12.固定金利借入金を一括返済すると違約金がかかるのはどうして?
金融機関は預金者や金融市場からお金を集め企業に融資を行います。
その集めたお金にも利息がかかり、それに金融機関の利益を上乗せして貸出をする仕組みとなります。
この上乗せの利益(金利)には金融機関の人件費等の経費が含まれていますので、銀行ごとに金利は変わってきます。
集めるお金は預入期間の短い定期預金や金融市場から「変動金利」で借りてきます。つまり変動金利で集めて固定金利で貸し出しを行うのです。
しかし、金利が上昇し、銀行が調達してきた変動金利が融資を行っている固定金利を上回ることとなると、銀行は「逆ザヤ」となります。
この「逆ザヤ」のリスクを避けるため銀行は調達した変動金利のお金を別途、専門の市場で固定金利と交換する契約を行います。これを金利スワップ契約といいます。
そして固定金利の借入金の一括返済がされると銀行は金利スワップ契約を解消しなければならず、違約金が発生します。この違約金は銀行が負担するのではなく、銀行からの借入時の契約書に則って借入人に請求されるのです。
Q⒔.コロナ融資の返済が始まるけど先伸ばしできない?
新型コロナウィルスの悪影響が続くなか、返済が始まっているか、間もなく返済が始まろうとしている事業者の方々で資金繰りが厳しく、どうやって返済していこうかと悩まれている方も少なくないでしょう。
今後どの様な対応をすべきか説明していきます。
1.「同額借り換え」で据置期間を延長してもらう
通常、金融機関に返済を猶予してもらうことは「リスケ」といい、これがなされると新たに融資を受けることができなくなります。これは金融機関における「信用格付け」が下が
り貸倒引当金を積むことになるからです。これは金融機関も避けたいところです。しかし「同額借り換え」であれば「信用格付け」は下がりません。昨年と取り巻く環境も変わっ
ておらず昨年と同様の審査ができ、金融機関としても「リスケ」を行う手間も省けますので前向きに検討してくれるはずです。
2.すでに返済が始まっている、これから返済がはじまる
上記のように延滞をさせる前に金融機関に相談に行きましょう。
金融機関の手続きとして1ヶ月はかかります。早めの対応が必要です。